外で暮らしている猫=野良猫というイメージを持つ方や、そもそも地域猫って何?と思う方がいるでしょう。
野良猫と地域猫の違いや、なぜ地域猫が存在するのかについて解説します。
また、サクラ猫やTNRとはどういう意味でしょうか。
野良猫?地域猫?

そもそも野良猫も地域猫も外で暮らしていますが、大きな違いは“人と共生すること”を目的としているかどうかです。
では、野良猫・地域猫の特徴をそれぞれ解説します。
野良猫
野良猫には飼い主がいなくて、自由に生活しています。
そのため、ご飯がなくゴミを漁ったり、縄張り争いで喧嘩をしたり、繁殖して数が増えたりと地域の生活環境にトラブルが起こりやすいです。
以前までの野良猫トラブルの解決には、被害を縮小するために個体数を減らす=殺処分となっていました。
しかし、動物の殺処分は社会問題となっています。減少傾向にありますが、罪のない動物たちが、今もなお失われ続けているのが現状です。
地域猫
地域猫は地域で管理されている野良猫のことです。
特定の飼い主がいない・外で暮らしているという点は野良猫と同じですが、地域住民の合意のもと面倒をみているという違いがあります
地域住民で面倒をみるということは、野良猫トラブルに繋がりやすい、ごはんやトイレなどをみんなで管理することです。
つまり、人と猫が共生することを意味します。
サクラ猫

地域猫は不妊・去勢手術を行った目印として耳先をカットします。この状態の猫をサクラ猫と呼びます。
猫は繁殖能力が非常に高く、生後半年から子供を産むことができます。年2〜3回出産し、1回に4〜5匹と言われています。
ねずみ算式で1匹のメス猫から始まり、1年後には50〜70匹に増える可能性があります。
いくら地域でお世話を頑張っていたとしても個体数が増えれば管理が難しくなります。
そのため、望まない繁殖を減らすために不妊治療を行います。治療のためには捕獲が必要ですが、治療をした印があれば無駄な捕獲が減りますよね。
右耳と左耳の違いは?

サクラ猫のカットには手術した印だけでなく、他の意味があることを知っていますか?
実は、どちらの耳がカットされているかで、性別が分かるようになっています。
オス猫は右耳、メス猫は左耳がカットされています。
サクラ猫がいるということはその地域で、猫が可愛がられている証拠なのです。
TNRって?

T:Trap 捕獲
N:Neuter 不妊・去勢手術をする
R:Return 元の場所に戻す
という地域猫活動の基本です。
不妊・去勢手術をした猫は、望まない繁殖を減らせるだけでなく、治療を受けた猫のストレス軽減や病気の予防にもなります。
TNRについて

野良猫の数が減っていくことで罪なき命が失われない未来に繋がります
地域猫活動

地域猫活動は、地域住民の十分な理解の下、野良猫をその地域に合う管理をすることで、これ以上猫が繁殖しないようにする活動です。
野良猫に関するトラブル軽減だけでなく、地域のコミュニケーションの活性化など様々な効果をあげています。
また、地域猫活動には行政との連携が重要になります。各自治体で地域猫などの猫関連の部署に相談して、地域住民全員で具体的な活動方針を確認しましょう。
以下は地域猫活動の考え方の例えになります。
- 地域にいる野良猫の数を把握することで排除ではなく、地域住民と猫との共生を目指す
- 野良猫の数を増やさないために不妊・去勢手術を行う
- 猫による環境問題を解決するためにごはんやトイレなどを設置する。管理は住民が共同して行い、ゴミや悪臭などの問題を防ぐ
- 猫の問題を地域の問題として捉え、世話をする人が孤立しないように、近隣住民や行政の理解を得られるようにみんなで協力する
- 猫が苦手な人や飼っていない人の立場を尊重する
猫が好きな方や無関心な方、嫌いあるいは苦手な方が混在している地域で意見交換をして、地域それぞれのやり方で地域猫活動を行うことが重要でしょう。
地域に戻す理由は?保護しないの?

地域猫活動の基本として、避妊・去勢後は元の場所に戻します。
手術のために捕獲したなら、そのまま保護すればいいのでは?と考える方がいるでしょう。
実際、保護猫として捕獲される野良猫がいますが、全ての野良猫を保護することはできません。野良猫を全て保護するには保護施設の数やお世話をする人員の確保、飼育や施設にかかる費用などたくさんの問題があります。
また、警戒心の強い野良猫にとって無理やり捕獲したり、環境が変わることは、大きなストレスとなり病気になる可能性があります。
人間と共生するために、地域猫にとっても過ごしやすい環境が望ましいです。
そのため、避妊・去勢手術後、1匹で生きていける子は元の場所に戻します。
野良猫が増える原因

繁殖以外でも野良猫が増える原因があります。
それは、捨てられる猫がいることです。
飼い猫が捨てられて野良猫になるケースは珍しくありません。捨てられる猫が多ければ、個体数は増加します。
また、捨てられた猫が避妊・去勢していないと更に野良猫は増加し、悪循環です。
今いる野良猫の避妊・去勢を行なっても、捨てられる猫がいれば地域猫活動の目的は達成できません。
家族として迎え入れたら、最期までちゃんと面倒をみましょう。動物の遺棄・虐待は犯罪です。
動物の愛護及び管理に関する法律では、猫に限らず愛護動物を遺棄した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課されます。
地域猫が増えるといいこと

そもそも猫をよく思わない方もいるでしょう。猫が苦手な方やトラブルで悩んでいる方など理由は様々です。
そういう方々にとっても地域猫が増えるといいことがあります。
野良猫によるトラブルで悩んでいる方にとっては以下の3つが多いでしょう。
- ゴミを漁る
- 自宅敷地内での糞尿される
- 夜鳴きや喧嘩の騒音
地域猫活動をすることで問題を解決できます。
- ご飯を管理することで、安定した食事が取れ、ゴミを漁らなくなる
- トイレの設置や清掃活動をするので糞尿の被害が少なくなる
- 避妊・去勢手術をすることによって夜鳴きや喧嘩が軽減する
“猫が苦手=野良猫を排除する”のではなく、適正に管理しながら共生することで、野良猫の数は増えません。
これを継続して行うことで緩やかに野良猫の数が減っていくのです。
まとめ
地域猫は地域全体で管理している野良猫を意味します。また、不妊・去勢手術の印をつけたサクラ猫や地域猫活動の基本となるTNRが存在します。
地域猫活動は野良猫がこれ以上、繁殖しないようにする活動です。
猫が好きな人も嫌いな人も猫自身も、みんなが過ごしやすい地域をつくるという認識が重要です。そのためには、行政と地域の方の理解と協力が必要不可欠になります。
全員が快適に暮らすために、地域猫活動に目を向けてみませんか?