暑い時期が近づいてくると心配なことの1つが熱中症です。近年、最高気温が更新・猛暑日が続いており、ヒトだけでなくネコも熱中症になる可能性があります。
熱中症ときいて安易に考えてはいけません。熱中症での死亡率は約35%前後といわれています。事前に対策することで防げるのでこれを機に見つめなおしてみましょう。
では、毛が多いネコに対して熱中症はどのように防げばいいのでしょうか?また熱中症対策グッズがありますが実際の効果はどうなのでしょうか?
熱中症とは?
熱中症とは、体温調節がうまくできなくなり熱がこもった状態をいいます。なので、暑いだけでなくさまざまな症状がみられます。熱中症=夏・暑い場所というイメージが強いでしょうが、実は夏以外の時期にも注意が必要です。
ネコはヒトや他の動物と比較して体温調節が上手ではありません。ヒトは全身で汗をかくことで体温を下げますが、ネコは肉球と鼻しか汗をかくことができません。また、イヌのように「ハアハア」と口呼吸で体温を下げることは稀なので、自宅の環境を整えてあげることが重要です。
こんな条件は要注意!
では、どのような条件で熱中症になりやすいのでしょうか?
気温が30℃以上になると熱中症になる可能性が高まります。近年、夏以外の時期にも30℃に近い気温になりやすいです。なので「まだ大丈夫」と安心しがちな時期、特にGWなどは要注意です。
また、高温多湿の状態は熱の放散がしにくいといわれており、熱中症になりやすいです。湿度の高まる梅雨の時期も同様に気をつけましょう。
熱中症の症状
熱中症には重症度が存在します。軽度・中等度・重度に分かれており、それぞれ症状が異なります。症状別に重症度が異なるので、当てはまる場合には早めに動物病院を受診しましょう。
軽度
ネコはイヌと違って口呼吸をしません。ですが、熱中症の初期では熱の放散のために開口呼吸をする場合があります。子猫だと運動後に開口呼吸をすることがありますが、成猫はしません。もしそういう症状がみられたら早めに動物病院を受診しましょう。
その他の症状として以下があります。
- 発熱(肛門の検温で39℃以上)
- 食欲がない
- 心拍数の増加(一般的な安静時心拍数は100〜160回)
- よだれが垂れる
- 目や口の粘膜が赤い
中等度
中等度の熱中症では、消化器系の症状があらわれやすく下痢や嘔吐がみられる場合があります。危険な状態なので動物病院への受診をしましょう。
- 下痢・嘔吐
- 震え
- 元気がない、ぐったりしている
- 発熱(40℃以上)
- まっすぐ歩けない
重度
重度では意識障害や痙攣などを起こし、放置すれば死に至る場合があります。また、後遺症などが残る可能性があるので緊急性が高い状態です。
- 発熱(41℃以上)
- 意識混濁や意識消失
- 痙攣発作
- 舌や口腔内のチアノーゼ(青紫色)
飼い主さんができる応急処置
先ほど紹介した症状がみられたら動物病院への受診を急ぎましょう。動物病院へ向かうまでの時間など少しの間でも症状緩和をするために、応急処置が重要です。
熱中症は高温多湿な場所で発症しやすいです。なのでネコがいる場所が高温多湿の場合は、風通しのよい涼しい場所へ移動しましょう。
身体から熱を逃がすことが重要なので、身体を冷やしてあげましょう。ヒトが発熱した場合にも首や脇の下を冷やしますが、ネコも同じです。
保冷剤や濡らしたタオルを使いましょう。身体を水で濡らして風を当てると、水が気化してさらに冷やすことができます。扇風機やエアコン、うちわも活用しましょう。
熱中症には脱水症状が伴うので、体内の水分補給が重要です。スポイトや濡れたコットンなどを使って口元を濡らしてあげましょう。
水を飲ませる場合に、意識混濁・消失していたら無理やり飲ませることは控えましょう。しっかり覚醒していない場合に、無理やり水を飲ませると誤嚥する可能性があります。
熱中症になる原因
では、熱中症はどのような状況で発症してしまうのでしょうか?知っておくことで大事なネコの健康を守ることができます。
高温多湿な環境
気温が30℃を超えると熱中症のリスクが高まるといわれています。30℃を超えると身体の熱を放散しにくいため、熱がこもりやすくなります。熱がこもった状態が続くと熱中症になりやすいです。
また、気温が30℃を超えていなくても多湿な環境では暑く感じやすいといわれています。多湿でも熱の放散がしにくいようです。
夏の室内での快適温度は21〜28℃前後といわれています。基本的にはエアコンはつけっぱなしにしましょう。少しの間でも大丈夫と思っていても、密室では気温が上昇しやすいため油断しないでください。
水分不足による脱水症
ヒトは喉が渇くと水を飲みますよね?しかし、ネコはあまり水を飲まない生き物です。
ネコの祖先のリビアヤマネコは砂漠で暮らしていたため、体内に水分が少なくても活動できる構造になっていました。祖先の習性が、現在のネコも同様に水分をあまり摂取しないとされています。
ですが、水分が少なくなると脱水症状を引き起こします。熱中症の症状の1つに脱水症状がありますが、重症化すると非常に危険です。体内の水分が10%失われると重篤な症状があらわれ、脱水症が続くと命の危機につながります。
体質
熱中症になりやすいネコの種類や体質があるので、特徴を以下に紹介します。
- 長毛種
- 黒色の被毛
- 呼吸による体温調節が苦手な短頭種(鼻ペチャ)
- 子猫・シニア猫
- 肥満ネコ
- 持病に呼吸器・循環器疾患がある
当てはまった場合には要注意です。
屋外での活動
ノラネコや地域猫、屋外へ行き来するネコなどさまざまいます。ヒトでも屋外での活動で熱中症となり救急搬送されるケースが存在するので、ネコも同様です。
特にネコは地面からの輻射熱(ふくしゃねつ)の影響を受けやすいため、屋外での活動は非常に危険。また、アスファルトは熱を吸収しやすく放出しにくい性質があり、65℃近くにもなることもあるとか。
暑いアスファルトの上をネコが歩けば、熱中症の危険だけでなく、肉球の火傷の可能性もあります。
予防策
熱中症にかかる原因がわかったところで、具体的な方法と我が家で実際に行なっている対策を紹介します。
室内温度の管理
最も重要なのが高温多湿を避けることなので、温度管理が重要です。特に夏の暑い時期にはエアコンは必須。ですが、ネコの健康管理のために1日中エアコンをつけると電気代が気になりますよね?
我が家では部屋の温度はエアコンで27℃ほどに設定しており、サーキュレーターを併用することで電気代を節約しています。オススメポイントと我が家での対策を合わせて紹介します。
サーキュレーターのおすすめポイント
- 空気を循環するので室内温度が一定
- 電気代の節約ができる
- 洗濯物の室内干しにも使える
室内温度が一定にできる
ネコは家のさまざまな場所でくつろぎ、特に高い場所を好みます。ですが、エアコンから出た冷気は下に留まりやすく、部屋の天井付近と床付近では温度差が生じやすいです。
ネコが高い場所でくつろいでいて、天井付近の温度が高い場合に熱中症になる可能性があります。エアコンだけでは室内温度を均一に保つことが難しく、室内の上部はヒトの生活圏内ではないので思っているより温度が高くなっています。
そこでサーキュレーターで空気の循環、室内の温度を一定にすることで、ネコが家のさまざまな場所で快適に過ごすことができます。
電気代の節約
エアコンとサーキュレーターを同時に使うと、電気代が増えるイメージを持つ方がいるのではないでしょうか?私も単純に2台も電化製品を使えば高くなるのでは?と思っていました。
ですが、節電になる方法を理解してからはサーキュレーターと使う方がお得だと気づきました。節電になる方法を紹介します。
まず、エアコンだけでは温度を一定に維持することは難しく、設定温度になるまで温度を下げる時に最も電力を使います。なので空気を循環することで効率よく室温を下げることは、同時に電気代の節約になります。
また、サーキュレーターならどれでもいいというわけではありません。サーキュレーターには2種類のモーターがあり、それぞれ特徴が異なります。
種類 | 電源 | 特徴 |
---|---|---|
DCモーター | 直流 | 低電力で動作。 製品価格が高い。 |
ACモーター | 交流 | 製品価格が安い。 | 耐久性に優れている。
サーキュレーターに搭載されているモーターにより消費電力が大きく異なります。ACモーターは本体価格が安価なものが多いです。反対にDCモーターでは、消費電力が抑えやすく、ランニングコスト重視の方にオススメです。
ご自宅のエアコンの消費電力(W)・契約している電力会社が定める1kWhあたりの電気料金がわかると、1日当たりと月のエアコン代を計算することができます。
消費電力(kW)×1kWhあたりの電気料金=1時間あたりの電気代
我が家の場合は、エアコンの消費電力800W(0.8kW)、1kWhあたり18円なので
0.8kW×18円=14.4円/h ×24h=345.6円/日 ×30日=10,368円
エアコンの設定温度を1℃上げると10%程度の消費電力を削減できるといわれています。なので、設定温度を1℃上げた場合の消費電力とサーキュレーターの消費電力を足すことで、1時間あたりの電気代を計算できます。
消費電力(kW)×1kWhあたりの電気料金=1時間あたりの電気代
我が家の場合は、エアコンの消費電力を10%削減すると720W、1kWhあたり18円なので
0.72kW×18円=12.96円/h ×24h=311.04円/日 ×30日=9,331.2円
我が家で使っているエアコン・サーキュレーター(DCモーター)でかかっている費用を簡単に表でまとめました。比較するとわかる通り、併用すると月の冷房の電気料金が1,015.8円安くなることがわかりますね。
種類 | 1時間あたり | 1日(24h)あたり | 1ヶ月(30日)あたり |
---|---|---|---|
エアコン(800w) | 14.4円 | 345.6円 | 10,368円 |
サーキュレーター(17w) | 0.031円 | 0.7円 | 21円 |
併用 | 12.991円 | 311.74円 | 9,352.2円 |
洗濯の室内干しにも使える
今回の記事内容とはズレてしまいますが、サーキュレーターのおすすめポイントとしてはとても重要です。
洗濯物を干せない時期や花粉・黄砂を部屋に持ち込まない対策として室内干しをしますよね?室内干しのデメリットの1つに洗濯物の生乾きやニオイ戻りがあります。サーキュレーターは強く直線的に送風するため、室内干しにもぴったりです。
また、暖房を使う時期には室内の湿度も重要になります。冬の時期に室内干しで湿度を確保し、サーキュレーターで干す+室内の暖気を循環させることで電気代の節約になります。
サーキュレーターはエアコンとの相性が良く、夏だけでなく冬の時期にも活用できるのでオススメです。
我が家で使用しているサーキュレーターはこちら
山善のサーキュレーターのオススメポイント
- DCモーター搭載
- 静音性に優れており、ネコがいても安心
- パーツを分解して丸洗いできるので清潔
- 上下・左右・全方向・首振りなしの機能搭載
涼しい場所を設置
室温の管理は先ほど紹介しましたが、そもそもネコは風を浴びることを好みません。なので、ヒトのように風で涼むことは珍しいので涼しい場所を作ってあげましょう。
また、ネコのお気に入りの場所に風が当たらないように工夫しましょう。部屋の中で涼しくなりやすい場所・素材を紹介します。
- フローリングの廊下・床
- ベッドの下
- タイルやコンクリート
- 接触冷感素材の生地
ネコが廊下や床で体を伸ばしている姿を見ることは珍しくないでしょう。ヒトと違い、ネコは汗をかいて体内の熱を放散することができないので、冷たい廊下や床などに触れて体温を下げています。
窓際は外の景色が見えたり、日向ぼっこができるのでネコのお気に入りスポットの1つです。ですが、夏の日差しで熱中症になるリスクが高く、寝ているうちに気づいたら熱中症になっている可能性があります。ネコのお気に入りスポットで熱中症対策におすすめなのが、接触冷感素材の生地です。
近年暑い日が続いており接触冷感生地の商品が増えています。我が家の愛猫おこげさんも接触冷感生地のマットの上でよくくつろいでいます。
我が家で使用してる接触冷感マット
また、アルミプレートなどの熱伝導が高い素材もオススメです。熱伝導率が高いということは熱しやすく冷めやすいことが特徴です。なので日に当たりにくいベッドの下や廊下などに設置することでひんやり効果が持続します。
我が家で使用しているアルミプレート
飲水量の確保
熱中症の症状の1つに脱水がありますが、飲水量をしっかり確保することで防ぐことができます。ですが、ネコに水を飲んでもらうことは簡単ではありません。
猫が1日に必要な水の量は、体重1kgあたり約30〜50mlです。我が家の愛猫おこげさんの場合、体重が約4kgなので、約120〜200ml/日が必要です。
脱水になるとさまざまな症状や病気を引き起こす可能性があり、死に至る場合もあるので非常に危険です。ネコが普段、どのくらい水を飲んでいるか把握していますか?
飲水量の把握にはCatlog製品がオススメ
Catlog製品のおすすめポイント
- ネコの行動を数値化できるので変化を見逃さない
- ちょっとした異変を通知してくれて、受診のきっかけになる
- 自宅の環境を見直すきっかけになる
我が家ではCatlog製品を利用して、早期に動物病院を受診したことで持病の悪化を防ぐことができました。
ネコの行動を数値化したり、データを管理することは簡単ではありません。アプリで全て管理できるのと、シンプルなので一目で確認できるので便利です。
ネコが水を飲まない理由と対策についてこちら
完全室内飼いにする
年々、最高気温を更新し続けており夏は過ごしにくい気候となっています。先ほど解説した通り、ネコは地面からの輻射熱(ふくしゃねつ)の影響を受けやすいため、屋外での活動は非常に危険。
また、夜間も気温が下がりにくく1日中暑いので、体内の熱を下げることが苦手なネコにとって夏の屋外は居心地の良い場所ではないでしょう。
もし、飼い猫を屋外へ出している場合にはこれを機に完全室内飼いへと移行してはどうでしょうか?暑い夏の日にどこか見知らぬ場所で孤独に倒れているかもしれません。
屋外の危険について
まとめ
今までの常識では考えられないくらいの暑さが続いています。室内だから熱中症にはならないと思っていませんか?ネコにとって暑さは非常に危険ですが、知っていることで防ぐことができます。
高温多湿な環境、脱水症状、ネコの体質、屋外など危険はさまざま。この記事を参考に熱中症対策をしてみてくださいね。