ネコを飼うときの注意点の一つとして誤飲・誤食があります。軽視されがちですが、実は危険な行為で場合によっては命の危険も。
ですが、誤飲・誤食は対策していれば防げる事故なので、未然に防ぎましょう。身の回りで起こりやすい誤飲・誤食だけでなく、おもな症状・対策もあわせて紹介します。
ネコの誤飲・誤食
あまり知られていませんが、ネコの誤飲・誤食は意外と多いです。子ネコや若いネコの方が起こりやすいといわれており、遊んでいる最中に飲み込んでしまったケースが多いです。
誤飲・誤食してしまった場合には消化器の症状が起こりやすくなります。消化器は徐々に細くなるので、腸閉塞につながることが多いです。腸閉塞は通過障害を意味しており、場合によって開腹術が必要になることは珍しくありません。
なので誤飲・誤食を発見したら症状の有無に関わらず、早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。また、曖昧でも誤飲・誤食の可能性があった場合も動物病院を受診しましょう。
誤飲・誤食しやすいもの
誤飲・誤食してしまう物はさまざまなものがあります。ここでは、発生頻度の高い物や身近にある危険を紹介します。
ネコのおもちゃ・ヒモ
誤飲・誤食で頻発しやすいのはネコのおもちゃです。遊んでいた時や破損に気づかずに誤飲してしまうようです。
また、ネコのおもちゃは狩猟本能を刺激するような商品なので、ネズミのおもちゃ・トリの羽が付いているものは誤飲しやすいと言われています。
他にもヒモ状のものは注意が必要です。ネコ用のおもちゃに限らず、ヒモはネコの注意をひきやすく誤飲・誤食が最も多いと言われているくらいです。
ヒモ状の異物は腸の損傷や腸閉塞を起こしやすく、そのまま放置していると壊死する危険があります。壊死してしまった場合には切除術が必要になるので、ネコへの負担はかなり大きいです。
口や肛門からヒモが出ていたとしても、引っ張らずにそのまま動物病院を受診しましょう。消化管内での絡まり方・詰まり方を確認する前にヒモを引っ張ってしまうと、消化管が破れる可能性があります。
ジョイントマット
ペットを飼っていなくても、床の傷つき防止や消音目的としてジョイントマットを使っているご家庭があるでしょう。手に入りやすく比較的安価なのでとても便利なアイテムですよね。
ですが、ネコにとってジョイントマットはかなり危険なので撤去をオススメします。
ジョイントマットは樹脂製やコルク製などありますが、総じて耐久性に乏しく爪とぎされると破損してしまいます。また、柔らかい材質を好んで噛んでしまうネコもいるようです。
破損した部分を誤食してしまい、腸閉塞を起こすリスクが高いと言われています。
ボタン電池
電池はさまざまな電子機器に使用されており、小型の製品で扱われることが多いです。電池の中でもコイン型・ボタン型電池は、大きさが小さく身近な製品に幅広く使われています。
ネコに限らず、子どもの電池に関する事故情報は非常に多いです。
誤飲した電池によって消化管内に損傷を起こすと言われています。特にコイン型電池は平たく幅広いため消化器官に停滞しやすく、穴が開くことも。
以下の記事は国民生活センターが発表した、ボタン電池の危険性と化学やけどの症状についてまとめたものです。乳幼児の誤飲に関する事故事例ですが参考にしてみてください。
ボタン電池の管理だけでなく、使用している電子機器の管理にも注意です。ねじ止めなど工具を使用しないと電池ぶたを開けられない製品がある一方で、工具を必要せずとも電池交換が可能な製品があります。
工具を使用せずとも電池交換が可能な製品が落下し、電池が飛び出してしまうことで誤飲につながるケースもあるようです。
電池だけの管理だけではなく使用している機器の管理も重要です。
中毒症状の可能性のあるもの
ネコと暮らすうえで、ネコには危険なものを知ることが重要です。身近なもので、中毒症状の出る恐れのあるものは意外と多いので、まずはどんなものが危険なのか紹介します。
人間の食べ物
人間とネコとでは体の仕組みが違うので、人間は食べられるけどネコには毒となるものはたくさんあります。
特に危険なものを以下に紹介します。
- ネギ類(玉ねぎ、ニンニク、にら)
- チョコレート
- 果物(ブドウ、マンゴー、イチジクは特に)
- カフェイン飲料
私たちが食べ慣れていたり、加工食品に含まれているくらい身近な食材ですが、猫にとっては中毒症状がでやすいです。
また、問題のないといわれている食べ物でも、下痢をしたりアレルギー症状がでる場合があります。今回は症状の出やすい食べ物を紹介していますが、個体差があるので上記以外の食べ物でも注意が必要です。
基本的にはネコに、人間の食べ物を与えるのはやめましょう。また、危険な食材を口にすることがないように対策をしましょう。
観葉植物
ネコは胃の中に毛玉を溜めやすい生き物です。なので、胃腸を整える目的で猫草を食べて胃を刺激し、毛玉を吐くと言われています。
猫草の代わりに観葉植物を食べてしまったり、遊んでいる時に食べてしまったりすることがありますが、ネコにとって観葉植物はほとんどが毒です。
イヌと違ってネコは、肉食なので植物に含まれる毒を解毒する能力が乏しいです。
もちろん、すべての観葉植物ではありませんがまだ解明されていない植物もあるので、手遅れになる前にネコの手の届かないところに置いたり、ネコが出入りしない部屋に置くなど対策をしましょう。
観葉植物について
医薬品
人間だけでなく、動物にも医薬品は使われます。薬の種類によりますが、投薬には年齢や体重・体表面積によって用量が決められています。
なので、動物にも処方される種類の薬でも摂取量が多ければ中毒症状がでます。種類によっては摂取後、数十時間で死に至ることがあるため厳重に管理しましょう。
また、薬は大きさが小さいため飼い主が気づかないところで誤食することも多いようです。かなり危険なので薬の取り扱いには十分注意しましょう。
もしかして誤飲・誤食?
ネコの誤飲・誤食は小さい物で頻発するので、飼い主さんが気づかないうちにというケースも。
曖昧な状況で様子をみていたら急に悪化してしまうことは珍しくないため、おもな症状と対策を紹介します。
誤飲・誤食の症状チェックリスト
誤飲・誤食の可能性がある場合の具体的な症状を紹介しますので、もし当てはまるものが1つでもあれば動物病院を受診しましょう。
- 口を開けて呼吸をする(呼吸が苦しそう)
- チアノーゼがある
- 嘔吐する、もしくは吐き出しそうな動作を繰り返す
- 腹部膨満
- 元気がない、ぐったりしている
- 食欲不振
誤飲・誤食した場合にはどこで詰まっているかによって症状が異なります。口元に近い場合には呼吸困難が、腸内で詰まっている場合には腹部膨満・嘔吐の症状が出やすいです。総じて元気がない・食欲不振がある場合には受診のサインです。
ネコが呼吸困難な場合には、呼吸数が増えます。開口呼吸をしなくても呼吸困難な場合があるので、呼吸数を把握することが重要です。ネコの正常な呼吸数は安静時で20〜40回/分です。安静時に呼吸が早い場合にはなにか異常な可能性があります。また、チアノーゼ(舌や歯茎が青紫色)や開口呼吸がみられた場合にはすぐ動物病院を受診しましょう。
腸内で異物が詰まっていると嘔吐や腹部膨満が起こります。ネコは毛玉を吐く生き物なので、嘔吐は珍しくありませんが、普段より嘔吐の回数が多い場合には注意が必要です。個体差がありますが、1日1・2回程度は正常ですが3・4回以上は異常です。また、少ない回数の嘔吐でも、ぐったりしている場合には動物病院を受診しましょう。
また、誤飲・誤食したかも?と曖昧な場合でも症状が出る前に受診しましょう。症状がない=安全ではなく、数時間後に命の危険となる場合が多いです。誤飲・誤食は時間との勝負なので、安易に自己判断せずに受診しましょう。
対策
ここまで誤飲・誤食の危険と症状について紹介しました。ですが、誤飲・誤食は事前に防げる危険です。発生する前に対策できることはたくさんあるので、一緒に暮らすネコちゃんの性格と自宅の環境に合わせて対策しましょう。
特に子ネコや若いネコは好奇心に溢れているので、誤飲・誤食の危険性は高いです。人目のないところでおこると飼い主さんが気付かずに症状が悪化したり対応が遅れてしまいます。
基本的には飼い主さんが見ていないときには、おもちゃを片付けたりヒモ状のものは触れないようにしましょう。ゴミ箱を漁ってしまうネコがいるので、蓋付きのゴミ箱にしたりネコがいる部屋には置かないようにしましょう。
また、ネコは飼い主さんにかまってほしくて物を落として気を引きます。落ちた時に部品が飛んだり、故障した部品に気づかず後々、ネコが誤食したというケースも。
すぐに気づかない可能性があるので、ネコの手の届かない場所に置いたりしまって保管することが重要です。
まとめ
お互いが安心・安全に暮らすためには誤飲・誤食は気をつけなければならないことの1つです。
誤飲・誤食にはネコ用おもちゃやヒモ状のもの、ボタン電池だけでなく、中毒症状が出る危険性までさまざまあります。
命の危険につながる可能性があるので、事前に対策しましょう。
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