野良猫や地域猫といった生活の拠点が屋外のネコがいます。“ネコ=屋外で生活する”というイメージや“ネコといえば屋内外を自由に行き来する”という印象を持つ方がいるでしょう。
ですが、屋外には危険がたくさんあり猫の完全室内飼いが推奨されています。
そもそも外飼いは何が危険と言われているのでしょうか?
屋外の危険5選
屋外での生活にはさまざまな危険と隣り合わせです。大切な家族の命を危険にさらしてまで屋外で生活するべきでしょうか?
環境省では猫の室内飼育に努めることが明記されています。
具代的にどのような危険があるのでしょうか?5つ紹介します。
交通事故
外飼いで最も多い危険は、交通事故のような怪我や命の危険に直結しやすいものです。
環境省によると2021年度の調査では、ネコの殺処分は約1万1000匹です。この数は過去最少数となり、調査が始まった1974年には120万匹を超えていて、殺処分数は軽減傾向にあります。
一方で全国の交通事故で命を落とすネコは約29万匹といわれており、殺処分数よりはるかに多いです。
また、交通事故で負傷した愛猫を見つけるのは難しいようです。令和4年度、環境省のデータによると負傷動物(ネコ)の収容数は9,101匹で、そのうち返還数は332匹でした。負傷してからどこの収容所にいるのか特定することは簡単なことではありません。
交通事故で命を落とした猫には、外飼いの猫も含まれています。なので、『我が家のネコが帰ってこない』理由には事故にあったけど誰にも気づかれずに一匹で命を落としていたなどの悲しいできごとが起こるかもしれません。
感染症
屋外にはノミ・マダニといった寄生虫がいたり、野良猫が持っている感染症がうつってしまうリスクがあります。野良猫が持っている病気の中には、猫エイズや猫白血病があり、他の猫から感染し一度かかると根治する方法はありません。
外飼いだとネコの健康管理が難しいです。病気やケガの発見・治療が遅れることがきっかけで、外飼いのネコは寿命が短いといわれています。
野良猫の平均寿命は3〜4歳程度、外飼いネコは約13歳、完全室内飼いのイエネコは15歳を超えるといわれていることから、猫の寿命は環境が大きく影響しています。
虐待
残念ですが、心無い人間が危害を加える事件がおこることは珍しくありません。怪我をして帰ってきたり、場合によってはネコを盗まれ虐待され、命を落としてしまうこともあるようです。
虐待事件の標的にされるのは、人馴れしている外飼いネコです。野良猫より警戒心が薄いので、エサに毒を入れて食べさせる事件も発生しています。
虐待されたネコは人間不信になり、自宅に帰ってこなくなり、適切な治療ができずに命を落としてしまうなど悪循環なケースも起こりうるでしょう。
殺処分
近年、イヌ・ネコの殺処分数は軽減傾向にありますが、年間1万匹以上のネコが殺処分されています。保健所では、怪我をしたネコが負傷動物として収容されたり、母猫とはぐれた子猫が収容されます。
外飼いしていたネコが負傷したり、災害時に迷子になった場合には、保健所や動物愛護センター保護される場合があります。
収容されたネコを長期間、飼料することはできないので数日から1週間程度の公示期間が設けられています。公示期間を過ぎたネコは譲渡対象になるか殺処分になるか検討されます。
以下は環境省が公表している負傷動物の収容数です。
負傷収容数 | 返還数 | 譲渡数 | 殺処分 | |
犬 | 524 | 149 | 201 | 166 |
猫 | 9,101 | 332 | 3,363 | 5,169 |
令和4年度、環境省のデータによると負傷動物(ネコ)の収容数は9,101匹で返還数322匹、譲渡数3,363匹、殺処分数5,169匹と殺処分はまだまだ多いことがわかります。
また、イヌと比べると歴然です。収容数がイヌの約20倍ちかくあり、ネコの収容数のうち殺処分数は半分以上。もちろん、以前より軽減傾向なのは嬉しいことですが、またまだ多いのが現状です。
ネコの所有者(飼い主)がわかれば、殺処分にはなりません。なので事前にネコの身分証明として首輪を付けて、飼い主の住所を明記したりマイクロチップの挿入をオススメします。
マイクロチップについて
近隣トラブル
飼い猫が外で人やモノを傷つけてしまった場合には、飼い主が責任を問われる可能性があります。
近隣トラブルとして、以下のような問題が挙げられます。
- 避妊・去勢をしていないネコが子猫をたくさん産んで数が増えてしまった
- 発情期やネコ同士の喧嘩の騒音
- 他人の敷地内での排泄による異臭問題
- ゴミを漁ったりすることで周辺地域が不衛生になる
など理由はさまざまです。
完全室内飼いのメリット
屋外での生活は命の危険を伴うということがわかりました。完全室内飼いの1番なメリットは健康で長生きできるという点です。
野良猫の平均寿命は3〜4歳程度、外飼いネコは約13歳、完全室内飼いのイエネコは15歳を超えるといわれていることから、猫の寿命は環境が大きく影響しています。
健康管理ができることがイエネコの寿命が長いことと大きく関わっています。屋内で生活することにより体調の変化に気づきやすくなります。例えば、いつもより元気がない・食欲がないなどは完全屋内だからこそわかる不調のサインです。
また、屋外での危険は命に関わることばかりです。屋内での生活は危険を回避できるので、健康で長生きできる秘訣でしょう。
室内飼いの適切な環境
完全室内飼いで安全に暮らすためにはさまざまな対策が必要です。我が家で行っている対策を紹介します。
脱走対策
まず、猫と暮らす上で心配なことの1つは脱走です。脱走してしまうと自力で帰ってくる可能性は低いです。
運良く戻ってきたとしても警戒心が強く、捕獲が難しい場合があります。そうならないためにも脱走対策を行いましょう。
脱走対策についてはこちら
誤飲・誤食防止
脱走の次に気をつけるべきことは誤飲・誤食です。特に子猫や好奇心旺盛な子は誤飲しやすいと言われています。
まず、人間の食べ物はネコにとって中毒症状がでる可能性があります。また、イヌが問題ないからネコも大丈夫という認識は危険です。イヌとネコでは体のつくりが違うので、ネコでは危険と言われている物がさまざまあります。
ネコにとって危険と言われているものの一つとして、観葉植物やアロマがあります。ネコにとっては最悪死に至るほどの有害な毒性をもつ植物があります。
観葉植物について
食べ物に限らず、おもちゃやボタンなどの細かい部品の誤飲なども頻発します。
場合によっては、開腹手術が必要なケースもあります。ネコの手の届かないように工夫しましょう。
誤飲・誤食について
運動不足防止
室内飼いの一番のデメリットは運動不足になりやすいことです。
ネコは“寝る子”が語源であると言われるように、14時間ほど睡眠をとります。なので寝ている印象が強いと思いますが、運動が好きです。なので上下運動ができる環境を整えましょう。
棚などを組み合わせて、ネコが乗れるようにDIYするのも良いですが、キャットタワーの設置をオススメします。
ネコは高いところで落ち着きます。また外の景色を見ることは好奇心が刺激されたり、縄張りを監視する目的として重要です。日向ぼっこもできるので、窓際にキャットタワーを設置しましょう。
キャットタワーの設置だけでなく、飼い主さんと遊ぶことも好きなので、放置し過ぎず、構い過ぎず適度な距離感で遊んであげましょう。
まとめ
猫が屋外で生活することは命の危険があるということです。お互いが安心安全に暮らすためにも、完全屋内飼いをオススメします。
室内飼いでもリスクはあるので、健康管理や誤飲防止などのさまざまな対策をしましょう。
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